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OVERCOME3(F→Q)

OVERCOME2のつづきです。

このシリーズ、まだ最後までの構想はできていないけれど、確実に長い気がします。
書いている本人的には楽しいのですが、やっぱりCP小説は難しい…と実感してます。
実は、読むのは好きだけれど、CP小説をちゃんと書くのはこれが初めてだったり……。
だから文章が堅くなるの?
でも楽しいからいいの!(きっとあとになって全面書き直しするんだろうな…。)
こんな感じですが、おつきあい頂けますと嬉しいです。

・この前のお話の1~2日後くらい。
・最初はF視点から。途中Q視点に切り替わります。
・F→Q

大丈夫、見てやろうじゃないのって方はつづきから。


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****** ▼ 追記記事 ▼ ******

「おいフラッシュ!最新データだぞ!」

自慢げな顔をしたクイックが、急に俺の部屋に突撃してきた。

「あー、メタルに見てもらった成果ってやつかよ。どれ、見せてみろ。」
「ふん、自己記録更新だぞ。」
「お前、よくそこまでするよな。すげーとは思うけど、要は任務で結果だしゃーいいんだろ?正直トレーニングの細かい数値なんてそこまで追いかける必要ねーだろうに。」

確かに以前より良い数値だな、と頷きつつも、口から出るのはやっぱり皮肉ばかりだ。

「お前とはタイプが違うから。」
「え?」

予想していたのとは違う、落ち着いた声音に俺は少し驚いてしまった。
一拍おいて、クイックは俺のデスクにもたれ足元を見つめながら話を続けた。

「俺はDWNの最速最強のロボットだ。それが俺のアイデンティティってやつだ。常に一番早くなくちゃ、俺の作られた意味はない。…俺は満足しちゃいけないんだ。永遠に速さを追いかけていくしか存在意義はない。違うか?」

ふとこちらに向きなおり、クイックは俺のほうをじっと見てくる。いつもと同じカメラアイのはずなのに、そのグリーンの瞳はなぜか寂しい色に映った。何か言わなくては、と思うのに思考回路が働かない。声が出ない。

「……じゃあ、俺戻るから。」

俺に背を向け、クイックは部屋を出て行こうとしている。引き留めなくては…

「意味なくなんて…ねーだろ。」
「…?何か言ったか?」

思っていたことが口をついて出てしまう。
俺は、クイックが最強最速という、とてつもなく重いものを背負っていることに今更気付いてしまった。そして途端に、自分が支えられればいいのに、と思ってしまった。

…ああ、そうか。俺はクイックのことが好きなのか。
頭の上でぐるぐるとしていたものが綺麗にまとまって、すとんと胸の中に落ちてくるような感覚がした。

さて、今俺がすべきことは何だ?

「いや…。お前、たまにはちゃんと休め!夜、飲むぞ。空けておけよな。」
「意味わかんねえ奴だな。…アイス食いてえ、用意しとけ。」

クイックは、部屋を出る前少し笑った。これでいい。

「さて、甘いアイスでも探しに行くとするか。」

俺は大きく伸びをして、街にあるアイス屋のデータを探し始めることにした。



◆◇◆



フラッシュと飲むのは久しぶりだ。

俺はあまり酒に強い方ではないけれど、普段ケンカばかりしている反面、フラッシュとは割とよく飲んでいた。お互い、言いたいことを気にせず言えるのが気に入っているのかもしれない。
しかし、アイス食べたいとか急にリクエストしてしまったけど、ホントに用意してるのか?
そんなことを考えつつ、なんとなくフラッシュの部屋の前でドアを開けるのを躊躇っていた。

「……お前、何してるんだ?」
「…あ、」
「まあいい、入れよ。」

ドアを開けたフラッシュが呆れた顔をしつつ、俺を招き入れた。…なんかムカつく。

「…何怒った顔してんだよ。ほら、お前こーゆーの好きだろ。ラズベリーカスタードミルフィーユ。」
「おおっ!やるなフラッシュ!」

俺好みのアイスに免じて許してやることにする。




「お前、アイス食べてる時とかホント幸せそうだな。与えがいがあっていーけどよ。」

ラズベリーの酸味とミルフィーユの生地の食感を楽しみ、アイスがのこり半分になってきたあたりで、フラッシュがそう声をかけた。アイスをテーブルに置いてフラッシュを方を見れば、グラスをかたむけつつ俺を見て笑っている。

「……悪いかよ。」
「んな事言ってねーだろ。不安そーな顔してるよりよっぽどいい。」

そう言って、フラッシュはにやりと笑う。
馬鹿にしているのか、コイツは。俺の回路になにか冷たいものが走るような感覚を覚える。気に食わねえ。

「いつ俺が不安そうだったって?」
「ガラにもなく数字にこだわってるあたりとか?」

俺の低くなった声に対し、茶化すような言い方で言葉が帰ってくる。キッと睨み返すと、フラッシュは窓の外を見つめながら、元のトーンに戻って言葉を続けた。

「あの時、最速じゃなきゃ存在する意味がないっていってたけど、俺は違うと思うぞ。だったら博士だって、俺らがこうやって自分で物を考え、協力していくような仕組みを作ったりしねえ。…そうだろ?」
「じゃあ何だっていうんだよ!」

焦れて、つい声を荒げてしまう。フラッシュは冷静なのに、俺にはわからない。そうやって頭を抱え込んでいると、フラッシュが一瞬こちらを見たあと、また落ち着いた声で諭すように語り始める。

「なんと言ったらいいか…お前の速さとか、俺の膨大なデータ量とかは俺らの中での役割分担って意味では、勿論重要だ。でも大事なのは8体が補い合うことだろ。俺らはそれぞれ弱点を補い合ってる。」
「……っ。」

フラッシュは言葉を失った俺の方に体を向け、じっと見つめ返してくる。

「数字にかまけて不安になってるお前より、自信持ちすぎくらいのお前のがこっちも信頼できるんだよ。自信をストレートに示すのが、お前の良いところじゃなかったのかよ?」

言葉を紡いでいくにつれて冷静さを失っていくフラッシュの話し方に、俺はやっと元のペースを取り戻し始めた。

「は…っ、何だよ…。じゃあ、ネガティブ過ぎなお前は失格じゃねーのか?」
「おかげさまで、最近の電脳関連の任務は負けなしだ。俺を甘くみんな。」
「ふん…それは頼もしい事だな!」

口をついて出たのは、皮肉だった。冷静さを少し取り戻してみると、なんだか恥ずかしくなってきてしまった。
目をそらすと、アイスが溶けかかっているのが視界に入って、俺は急いでスプーンを手に取る。


フラッシュが”最近の任務成功話”をしているのを半分聞き流しながら考える。

フラッシュの言う”補い合う関係”

……俺の頭では、悲しいけどすぐには理解できねえ。……でも、こいつなりに考えてくれての発言なんだろうとは思う。なんだか、肩の力が抜けて少し体が軽くなったような感覚をおぼえた気がした。

……部屋に帰ったら、ひとりでもっと考えてみよう。

そう結論づけて、俺は最後のひとくちを口に運んだ。



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